アルガンオイルとは
アルガンオイルとはモロッコの乾燥地帯である南西部にしか自生しない「アルガンツリー」の果実の種のさらにその中にある「仁」を搾油して抽出するオイルのこと。
1つの果実に対し、仁の数は1~3個。
アルガンの実100kgからわずか1リットルしかとれない希少性の高いオイルです。
モロッコからチュニジアにかけて伸びるアトラス山脈に住むベルベル族は数世紀前から健康維持、そして美容のたまえにアルガンオイルを利用してきました。
アルガンオイルには植物ステロールの一種であるショッテノールという成分が含まれています。ショッテノールは植物ステロールの一種で細胞機能を調節したり代謝に係わる情報を伝達する役割があり、皮膚の修復作用や再生作用を高めてくれます。
その結果、やけどや皮膚疾患の他、老化に伴う小じわ・乾燥にも効果を発揮します。
美容オイルとして肌に塗っても、食用オイルとして食べてもエイジングケアに繋がるオイルです。
アルガンオイルを構成する主な成分
アルガンオイルの80%を占めるのがオイル(油分)です。その中でも不飽和脂肪酸という種類の油脂が最も多く含まれています。
以下にアルガンオイルを構成する成分をまとめます。
脂肪酸組成
- リノール酸:37%
- オレイン酸:43%
- パルミチン酸:12~13%
- ステアリン酸:9%
不飽和脂肪酸は肌への浸透を高める効果があります。中でもリノール酸やオレイン酸は肌細胞の老化・劣化を予防する抗酸化作用が高いという特徴があります。
ビタミン類
ビタミンEの含有量:70㎎/100含有。
オリーブオイルの約3倍の量のビタミンEが含まれています。
ビタミンEはトコフェロールと呼ばれ、「若返りのビタミン」と呼ばれるほど抗酸化作用が強力です。
さらに分子が小さく肌への浸透もスムーズであるため、肌に塗ることで効果的に老化対策として働きます。
ステロール類
180mg/100g含有。
ステロール類はショッテロール=Δ(デルタ)7ステロールが主。
植物油にはまれにしか含まれていません。
ショッテロールには皮膚の修復を助けたり、肌が再生するのを促進する効果があります。
トリテルペン類
180mg/100g含有。
他のオイルではほとんど含まれていない「トリテルペン類」と呼ばれる成分が含まれているためです。
アルガンオイルに含まれるトリテルペン類の成分と効果は以下の通り。
- βアミリン:皮膚の保護
- ルペオール:抗菌作用
- ティルカロール:傷の治癒を促進
- ブチモスベルモル:紫外線からの保護・抗炎症作用
- リュベロール:細菌などの感染に抵抗する効果
ポリフェノール類
6mg/100g含有。
- カフェイン酸:抗酸化作用
- オレウロペイン:美白作用
以上がアルガンオイルに含まれている成分です。
上記のように肌の保湿や老化対策に効果的な成分が多いため、アルガンオイルは美肌効果に優れた美容オイルとして評価が高いと言えます。
アルガンオイルの具体的な効果とは
アルガンオイルのもつ効果を高い順にまとめました。
エイジングケア
アルガンオイルの浸透力の高さとたっぷりのビタミンEが肌の老化の原因となる酸化を抑制します。細胞を傷つける活性酸素(フリーラジカル)が作られないように働きかけるため、小じわやシミなどの予防に繋がります。
保湿
アルガンオイルはとても浸透力の高いオイル。
理由としてアルガンオイルの約80%を占める不飽和脂肪酸の中のリノール酸は肌への親和性が高いことがあげられます。
肌につけるとすぐに浸透が始まり、角質深部まですっと入り込みます。これにより肌内部の水分の蒸発を防いでくれる効果があります。
肌を柔軟にする
浸透力の高さと植物ステロールである「ショッテロール」の作用により肌を柔らかく整えます。
ターンオーバーを整える
植物ステロール「ショッテロール」には皮膚の修復作用・再生作用を高める効果があるため年齢により狂いがちなターンオーバーを正常に整えてくれます。
ニキビ予防
抗炎症作用によりニキビができるのと、できたニキビを鎮める作用があります。これは他のオイルではほとんど含まれていない「トリテルペン類」と呼ばれる成分が含まれているためです。
ニキビ跡の改善
植物ステロールのショッテロールの働きにより、皮膚の再生能力を高め、ニキビ跡の改善に働きかけます。
アテローム(粉瘤)の予防
アテロームは皮膚の下が袋状になりそこに垢や皮脂が蓄積したものです。体質によりできやすい人もいます。アルガンオイルは肌の代謝を改善させるため、アテロームの予防に効果が期待できます。
毛穴の引き締め
アルガンオイルには毛穴を収縮させる作用があります。一つに浸透力が高く肌細胞をふっくらさせることで毛穴が埋まりやすくなる効果があるためです。
また、肌を柔らかく柔軟にして毛穴閉じを促します。
アトピー
アトピー肌は外敵刺激に対して過敏に反応してしまうことで、肌が炎症して赤くなったり痒みを生じてしまいます。
アルガンオイルは抗炎症作用があり、皮膚を外敵から保護してくれます。
アトピー肌はターンオーバーが早すぎてバリア機能の未熟な角質が表皮化してしまうのが問題ですが、アルガンオイルは肌のターンオーバーを正常に整えてくれる効果もあるため、パッチテストをしてみて問題がなければ積極的に使いたいオイルです。
肌のひび割れ・やけど
アルガンオイルに含まれるショッテノールが肌の再生能力を高め、ひび割れややけどの治癒を早めます。
薄毛・育毛
アルガンオイルにたっぷりと含まれるビタミンEは血行促進の効果があります。頭皮からスムーズに浸透し、血流を改善し髪に新鮮な血液と酸素を届けて髪の栄養状態を整える効果があります。
皮膚がんの予防
アルガンオイルに含まれるルペオールが皮膚がんの一種であるメラノーマに対して、成長を抑えて縮小させる効果があるようです。
人ではなくマウスを使った研究ではありますが、鳥取大学農学部が行った実験でマウスにメラノーマ細胞(がん細胞)を移植し、腫瘍が10㎜になったところでルペオールを添加したところ、腫瘍の成長スピードが抑制、さらに腫瘍自体が小さくなったという研究レポートが発表されています。
首イボ対策
肌のターンオーバーが遅れたり、HPV(ヒトパピローマウイルス)が角質の一番底である基底層に影響し、角質がミルフィーユのようにどんどん重なって皮膚から飛び出した形状のイボを一般的に首イボと言います。
正式にはウイルス性ではないものを「老人性疣贅」「脂漏性角化症」と呼び、ウイルス性のものは「尋常性疣贅」「青年性扁平疣贅」と呼びます。
アルガンオイルはウイルス性ではなく肌の老化によってできた首イボに効果を発揮します。
理由としては、アルガンオイルに含まれる植物ステロールのショッテロールが年齢によって低下した肌のターンオーバーを改善し、不要な老廃物の排泄を促進するためです。
ただし、アルガンオイルを使えば100%首イボが取れるわけではありません。数ヶ月使っても改善のメドが立たない場合には皮膚科受診をおすすめします。
アルガンオイルは全身に使える
アルガンオイルは酸化しにくく、様々な効果をその高い浸透力により発揮してくれるオイルです。爪のケア、ヘアケア、顔、体と全身くまなく使うことができます。
刺激性が少なく、肌に優しいため年齢を選ばず、生まれたての赤ちゃんから高齢者まで安心して使うことができます。
ただし、品質はきちんと選ばなくてはいけません。希少性の高いアルガンオイルであるにも関わらずあまりにも安価な場合にはアルガンオイル100%ではない可能性もあります。
上記した効果を期待するのであれば、アルガンオイル選びにも慎重になることをおすすめします。