アルガンオイルはただ保湿に効果的なだけではありません。アトピーによって引き起こされる症状に以下の成分が効果的に働きかけます。

ここでちょっとおさらいしますね。
アトピー性皮膚炎が起こるメカニズム
もともとアレルギーを起こしやすい体質の人、肌のバリア機能が弱い人に見られる皮膚の炎症を伴う症状。
アトピー性皮膚炎の特徴は、正常な肌であれば免疫機能が異物と判断しないようなものにまで過剰に反応し、炎症反応を起こします。
(炎症とは外敵と体内の免疫(白血球・リンパ球など)が戦うことで起こる反応です)
またアトピー肌は皮膚のターンオーバーが早すぎて外部刺激を十分に防御できない状態で最も表層である角質になってしまっているのも特徴です。
このアトピー症状を緩和させるためには炎症を長引かせないこと、肌の潤いを保ちバリア機能を高めること。乾燥など刺激となるものを避けてターンオーバーを正常化させることが大切になります。
アルガンオイルに含まれるアトピーの症状に働くおもな成分
アトピーに効果があると言われるアルガンオイル。その理由は成分にあります。以下がアトピーに効果的だとされる成分の一覧です。
不飽和脂肪酸が豊富
- 浸透がスムーズで肌のバリア機能を高める
- 抗酸化作用があり、活性酸素によって細胞が傷つくのを抑制する
- 植物ステロール「ショッテロール」含有:肌細胞の再生機能を高める・修復機能を高める
トリテルペン類含有
- βアミリン:皮膚の保護
- ルペオール:抗菌作用
- ティルカロール:傷の治癒を促進
- チモスベルモル:紫外線からの保護・抗炎症作用
- ュベロール:細菌などの感染に抵抗する効果
スクワレン(皮脂成分)含有
- 皮脂に含まれるスクワレンと類似の成分で保湿力を高める
ビタミンE含有
- 表皮細胞を守り抗炎症作用・保湿作用を発揮する
参考文献 大日本住友製薬・ニュースリリース
アルガンオイルをアトピーに使って得られる効果
上記の成分が含まれるアルガンオイルはアトピーに対しては
- 肌のバリア機能を高める
- 角質の水分を維持する
- 炎症反応を鎮める
- 痒みを抑える
- アトピー特有の早すぎるターンオーバーを正常化する
- アトピー炎症後の色素沈着を還元する
といった効果が期待できます。
アトピーへのアルガンオイルの使い方とは?
肌の乾燥を避けるため、入浴後、タオルドライはせずに浴室内の湿度が高い場所でオイルをたっぷりと手に取り、アトピー症状が気になる箇所に塗布していきます。
この際、ゴシゴシと擦るようなことはせず、ハンドプレスするように押し付けていきます。
水分と親和性があるため、体に残った水分とともにサラりと肌に馴染んだらOKです。
アルガンオイルを使ってアトピーが悪化する可能性はある?
残念ながら可能性は否定できません。アトピーは正常であれば反応しないようなものに強くアレルギー反応を起こします。
アルガンオイルはアルガンナッツと呼ばれるナッツの種子内にある仁から抽出したオイルです。ナッツにアレルギー反応を示す場合にはアトピー症状を悪化させてしまう可能性があります。
また強いかきむしりによって皮膚が化膿している場合や、強い炎症反応が起こっている場合にはアルガンオイルでは力不足です。
化膿している場合には抗生剤を使用、強い炎症にはステロイドなどで早期に過剰な反応を抑えこむことが大切です。
自分のアトピー症状にアルガンオイルが適しているかどうか判断が難しい場合には皮膚科医に相談してみることをおすすめします。
大人と子供のアトピーで使用するアルガンオイルは変わるの?
大人と子供のアトピーでは使用するアルガンオイルを変えた方がいい場合があります。
それは同じアトピー性皮膚炎と言っても大人のアトピー性皮膚炎と子供のアトピー性皮膚炎では原因が異なることがあるためです。
子供のアトピー性皮膚炎は主に食物や環境要因(ハウスダストなど)が未発達な呼吸器系・消化器系から吸収されることで皮膚反応として出ることが多いです。
症状としては強いかゆみを伴う赤く腫れる湿疹です。これをかきむしってしまうことで炎症が拡大していくケースが多いです。
それに対して大人のアトピー性皮膚炎は子供と同じメカニズムで起こる場合の他、乾燥肌が原因となっていることもあります。
乾燥した肌はバリア機能が弱くなり軽い刺激でも過剰に反応してしまいます。大人のアトピーの場合は「痒疹(ようしん)」と呼ばれる大きな湿疹が出ることがあり、ステロイドを使っても抑えこむのが難しいケースがあります。
このような違いから、選ぶアルガンオイルも違ってきます。
子供のアトピー性皮膚炎に使いたいアルガンオイル
子供に使いたいアルガンオイルは炎症を抑える成分が豊富に含まれる低温圧搾抽出した一番搾りのアルガンオイルがおすすめです。
また農薬不使用であるオーガニックのアルガンオイルを選ぶことをおすすめします。オーガニック認証、エコサート認証があり、消費期限が明記されているものを選びます。
ただし、アルガンオイルはナッツ由来であるためナッツにアレルギーがある場合にはおすすめできません。
化膿した傷、強い炎症が起こっている部分は避けて、入浴後体が濡れている状態で体全体に塗布してください。
大人のアトピー性皮膚炎に使いたいアルガンオイル
大人のアトピーに使いたいアルガンオイルは、肌の乾燥改善を重視したアルガンオイルです。
もちろん、低温圧搾抽出の一番搾りオイルは理想的です。
しかし大きな大人の体全体に毎日たっぷり使うとなるとコストがかかります。(部分使いやコストを気にしなければ全然OK)
炎症よりもカサカサとした乾燥が強いアトピーの場合には高温圧搾で抽出したアルガンオイルでも十分保湿力が期待できます。
また、乾燥がメインのアトピー肌はアルガンオイルだけではなくホホバオイルも効果的です。植物性オイルの中ではホホバオイルにしか含まれない「ワックスエステル」は、人が元々持っている皮脂のうち約26%を占めています。それと同じ成分であるため肌との親和性が高く水分量を維持してくれます。
無印良品などで販売されているホホバオイルは精製度が高く、量産できるため安価ですが保湿力は十分です。このようなオイルを入浴後にたっぷりと肌に塗り広げます。
アトピーには食べるオイルもおすすめ
アトピーの方は食用のオイルでは主にオメガ3系(αリノレン酸)のオイルを多く摂取することが望ましいです。
逆に「オメガ6系(リノール酸)」が多く含まれるオイルを摂取しすぎることで症状が悪化するケースがあると言われています。
どちらも体にとって必要な不飽和脂肪酸ですが、摂取バランスはオメガ3:オメガ6=1:2~4が理想です。
アトピー症状がある時には食用油をオメガ3系を多く含む良質な「亜麻仁油」「えごま油」「シソ油」などに変えたり、魚をメインに食べるなどでオメガ3系の摂取量を増やす工夫をしてみることをおすすめします。
アトピーにオイルを使う時は必ずパッチテストをしましょう
アトピー性皮膚炎が起きている肌はわずかの刺激にも過敏になっている状態です。アルガンオイル(ホホバオイルも)肌に刺激性の少ないオイルではありますが、何が刺激になるかは個人差があります。
使用前には必ず二の腕の内側に100円玉くらい塗って一日様子をみるというパッチテストを行ってください。
安全性を確認できた上でアルガンオイルを取り入れることをおすすめします。
コメント